加害者の外面の良さ等、様々な要因で、表面化しにくいDV・モラハラ。

では、DV・モラハラの現場ではどのようなやりとりが行われているのか?

家庭内という密室で主に行われるDV・モラルハラスメントの実情を、カシマシ豊田聡美が実際に経験した夫からの身体的、精神的暴力を例にご紹介します。

 

豊田聡美ブログ 「すべては心の決めたままに」 より引用


■DV・モラハラ実例集

二人目を妊娠中、確か8ヶ月だった。

その日は日曜日で、旦那が遠方(といっても大阪の下のほう)に住む私の祖母に会いに行こうと言ってくれたのだ。

私の母と折り合いが悪くて別居になった祖母。実家で、唯一私を誉めてくれたのは祖母だけだったので、私は祖母が大好きだった。なのでその申し出にとても感謝した。

 

無事、祖母宅から帰宅中の車内でのこと。

旦那がイライラし始めた。

どんな理由かもわからず、運転が乱暴になりだす。そんな旦那に声をかけてみるも無視。そして舌打ち。

乱暴な運転は私が一番嫌いなことだった。

二才前の娘とお腹の赤ちゃんの命が脅かされるからだ。なにより、私たちだけでは済まない、その恐怖でお腹がたびたび張って痛む。怖いと伝えると余計に酷い運転をするので、私は汗だくになりながら痛みや恐怖をやりすごすしかなかった。

 

高速をおりた頃、ようやく口を開いた旦那はこう言ったのだった。

「あんたのおばあちゃんのとこ行ったせいで、せっかくの休みになんもできんかったやんけ!!」

せっかくの休みを何度も繰り返しながらの乱暴運転。

「パパが言うてくれたから嬉しかったのに…」と言うや否や、急ブレーキをかけて通行人のおばあさんに「ばばあ!どけや!!」と捲し立てた。

そして私に車から降りるよう怒鳴った。

 

夏の午後3時ぐらいだったと思う。

真夏の炎天下に置いていかれた。

娘を車内に乗せたまま車は発進。

私はあまりのお腹の張りと暑さで、近くの焼き肉屋の屋根のある駐車場に座って泣いた。

すぐに迎えにきて「乗れや!!」と怒鳴ったのは言うまでもない。


旦那に話しかけたら、めちゃくちゃ切れられた。

もう部屋が壊れるかと思った。

うっとうしいとか、寝かせろとか、仕事なんじゃとか、飯食いに行ったのが何があかんのじゃとか、私には暴力振るわないけどドアとか大変なことに。

 

「なぁ、何も反応ないけど意見とかないの?」って聞いたらこうなった。


その日は数ヶ月前から決まっていた、ママさん友達との飲み会だった。

旦那には事前に許可をとり、子どもたちは妹に預けることになっていた。

前日には「楽しんでおいで」という思ってもみなかった旦那の言葉を聞き、嬉しくて涙が出そうになったほどだった。

気持ちよく送り出してもらえるのだから、不便のないようにと頑張った。

前日に晩ごはんの下準備をしようとしたら、旦那がいらないと言う。

自分ひとりならなんとでもなるから、と。

私は心から礼を言い、出掛けた。

 

いつもは履かないヒールを履いて、おしゃれをした私はとても気分がよかった。

2時間ほど飲んだ頃だったろうか。時間は9時だったと思う。

旦那からの着信だった。

 

内容がわからないくらいにどなっていた。

「子どもらを俺に聞かんと泊まらせるてなんで言うたんじゃー!!!」

何のことだかわからない。

ああそういえば、息子から着信があり、「パパがいいって言うてたから泊まるね(妹宅に)」と言っていたような気がする。

そんなことを考えながら怒鳴り続ける旦那の声を聞いていた。

「仕事で疲れてるのになんでご飯がないんじゃあ!!!」

「何時や思ってんじゃあ!!!」

だのと散々。

あ、やっぱりなぁと思う。ご飯いらないってのは罠やったんやな。時間はまだ9時。

とにかく私が出掛けているのが気に食わないだけなんだなと思った。

周囲を見るとあっけにとられていた。

声が駄々漏れで。

「旦那さんえらい怒ってはるし、帰ったほうがいいんじゃない?」と言わせてしまった。

 

私は場の空気を悪くしたことが申し訳なくて、すぐに店をあとにした。

なんて惨めな気持ち。

めかしこんだ自分が馬鹿みたいだ。

駅に向かう自分の足元を見ながら歩いた。

はきなれないヒールの上に、涙がポタポタと落ちた。


汚いようなものを避けるような素振りをよくされた。

 

「ちょっといいかな」と言葉を発したら大声で威嚇された。

 

話すとモチベーションが下がると言われ続けた。

 

子どもを殴るのをやめてと止めに入ったら、余計された。

 

私が止めに入るからだと言われ続けた。

 

加減してるのもわからんのかと怒鳴られ続けた。

 

ママはほんまにじめじめ鬱陶しいと言われ続けた。

 

辛気臭いくさいから帰りたくなくなると言われ続けた。

 

俺が浮気したらお前のせいやからなと言われ続けた。

 

腰つき、パジャマ姿がおばさんだからセックスしたくなくなるんだと言われた。

 

整形を勧められていた。

 

顔を隠して、誰かにさせられてセックスされていた。

 

ずっとずっと無視と罵倒だった。

 

一歩外に出れば、優しい人を装った。

 

それでも私にはここしかなかった。

 

実家に帰ることなど考えられなかった。

 

そんな17年だった。

 

それをすべて知っている親族が私に非を探す。

 

自分たちに被害が及ばぬよう。